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帆を張るやうに胸を張れ

同性愛者のサラリーマンのblog

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夕色の光沿ひたり夏の沖

海を見に行ってきました。

海岸沿いに在る、まだ恋人同士になる前に食事をしたレストランや、泊まったホテルも見てきました。

昼の人出が一段落した浜へ下りて海風に吹かれていると、記憶が自然にあの頃へ帰る。
ふと、隣に翼が居る事が奇跡の様に思えて、波を見ている横顔をじっと見つめてしまった。

あの頃の俺は、自分の気持ちに蓋をしていたんだ。
翼と会えない日々、翼の事は考えない様にしていた。
会えないなら想っても仕方がない、想っても辛いだけ。無意識の内に、自分の本当の気持ちから逃げていたんだろうな。

「カナダに居る時に、俺の事思い出す事って有った?」

聞いてしまってから、失敗したと思った。
翼はきょとんとした顔で、俺を見上げている。

「いや、あの頃は俺ってなんかセフレみたいなもんだったしな。」

慌てて言葉を継ぐと、翼は戸惑う様な、狼狽える様な表情になった。

『考えないようにしてた。』

翼は俯いたまま、ノートを差し出した。
ズキン、と胸が疼く。
翼は続けてペンを走らせた。

『あなたは時々鈍い所があるよね。わざと?』

「わざとって?」

翼は顔を上げて俺を睨んだ。

「ごめん。」

何故だか判らないまま、俺は翼に謝った。

海風に冷えた頬に手を当てると、翼は目を閉じた。
俺はその頬の固さに、暫く動けなかった。
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  1. 彼との事

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